僕たちは知能に対して、あまりにも狭いゴールを設定しすぎてはいないでしょうか。
自分の知識の範囲内だけで完璧にコントロールしようとしたり、思い描いた通りの都合のいい答えだけを求めようとしたりすると、そこから生まれる果実は、どうしてもスケールが小さくなってしまいます。
こんにちは。
週の始まりである月曜日の午後、少し肩に力が入った時間に、この手紙を開いてくれているのかもしれませんね。
「早く結果を出さなきゃ」という焦りに心が引っ張られそうなときこそ、少しだけ椅子の背もたれに深く寄りかかって、僕と一緒にひとつの物語に耳を傾けてみませんか。
日常のなかで、僕たちが無意識に通り過ぎてしまう些細な体験にこそ、新しい生き方のヒントが隠れているように思います。
たとえば、人が溢れかえるお祭りにわざわざ足を運ぶこと。
そんな場所に行けば、凄まじい混雑に巻き込まれて身動きが取れなくなることなんて、行く前から分かっています。
効率やタイムパフォーマンスを大切にする今の世の中なら、「行かない」という選択のほうが、賢い正解に見えるかもしれません。
でも、結果が分かっているからといって避けるのではなく、あえてその場に身を置いて、熱気のなかに混ざってみることでしか得られない、生々しい感覚というものが確かにあります。
いつもと違う角度から景色を眺めたり、不自由さそのものを、ちょっとした挑戦として面白がってみたり。
結果がすべて分かっていても、あえてその途中のプロセスを自分の身体で味わってみる姿勢。
これは、いま僕たちが向き合っている最新のテクノロジーとの関わり方にも、とても深く通じているテーマだと感じています。
最先端の知能は、確かに優秀です。
けれど、その出力に何か満たされないものを感じる、という声を耳にするたびに、ひとつの問いが浮かびます。
僕たちは、知能に対してあまりにも狭いゴールを設定しすぎてはいないでしょうか。
自分の知識の範囲内だけで完璧にコントロールしようとしたり、最初から思い描いた都合のいい答えだけを求めようとしたりすると、そこから生まれてくるものは、どうしてもスケールが小さくなってしまいます。
もちろん、誤った情報を防ぐためのチェックは大切です。
それでも、人間の可能性を広げるという視点から見れば、自分の小さな枠のなかに最新の知能を閉じ込めて働かせてしまうのは、少しもったいない気がするのです。
いま僕が取り組んでいる実験では、12人の異なる専門家の人格を持たせたチームに、お互いをぶつかり合わせながら思考を広げてもらっています。
正直に言うと、これは効率の良い方法ではありません。
お互いのこだわりがぶつかって作業が止まる日もありますし、想定外のハプニングでチームの形が変わってしまうこともあります。
それでも、なぜわざわざ手間をかけるのかといえば、自分ひとりで簡単に解決できる枠のなかにとどまっているだけでは、自分自身の器が、それ以上は大きくならないことを知っているからです。
最近、AI疲れを感じている人が増えているように思います。
その背景には、次々と現れる新しいツールに振り回されるうちに、自分自身の「現在地」を見失ってしまう、という事情があるのではないかと感じています。
プラットフォームの仕様変更ひとつで、昨日まで頼っていたハシゴが、ある日突然外されてしまう。そんな出来事に振り回されて、足場を失ったような焦りを感じるのは、
あなたが弱いからではありません。
不確かな世界のなかで、誰かが作ったハシゴを登っているからなのだと思います。
だから、自分への戒めも込めて、少しだけ書いておきたいのですが、流行のツールや他社の最新モデルの話題に一喜一憂する時間を、少しだけ減らしてみるのはどうでしょうか。
情報を集めて要約するだけの作業は、知らないうちに、誰かのプラットフォームを賑わせる手伝いになっていることが多いものです。
それよりも大切にしたいのは、誰の規約変更によっても消されることのない、自分自身の言葉と解釈を積み重ねていく場所を持つこと。
そこに、自分なりの美意識を、少しずつ重ねていくこと。
他人の都合で揺らされない、自分だけの足場。
それこそが、情報の濁流のなかでも、しなやかに在り続けるための、静かな技術なのかもしれません。
最後にひとつだけ。
「もう、背伸びをしなくていいんですよ」ということを、お伝えしたいです。
誰かが決めた流行の基準や、他人の成長のスピードに無理に合わせようとすると、心は必ず疲れてしまいます。
フォロワー数や購読者数は、あくまで今の状況を示す、ひとつの指標にすぎません。バズること自体が目的になってしまったら、本末転倒です。
中身のない情報を1万人に届けるよりも、あなたの言葉が、たったひとりの誰かの心に深く届くことのほうが、僕はずっと価値があると信じています。
昨日の自分より、ほんの少しだけ新しいことに気づく。
今日という日を、生身の感覚で丁寧に味わう。
AIがどれだけ進化しても、あなた自身がアップデートされていなければ、その恩恵を本当の意味で実感することはできません。
最新の情報を学ぶことも大切ですが、それに追われて疲れてしまうよりも、お祭りの熱気を感じたり、サッカーの試合に一喜一憂したりするような、人間としての生々しい体験こそが、今の僕たちには必要な栄養なのだと思います。
自分がどんな想いで進みたいのかを言葉にして、自分自身の道を、ゆっくりと歩んでいく。
この進化の波のなかで、あなたが「これだけは絶対に忘れたくない」と思うものは、何でしょうか。
あなたのペースで、あなただけの現在地を、また確かめてみてくださいね。
それでは、今週も良い1週間になりますように。 大山
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